題名:未来の僕
今思うと、あの頃の考えや感情が馬鹿馬鹿しく感じられる。
あの時、本当に自分が死ぬ方向を信じて足を向けたらきっと今の幸せはない。
駅のホームで電車を待つ間、僕は考えた。
なにもかも、幼すぎた僕は本当の苦しみを知らなかった…ただ自分勝手で最低なやつだった。
優しさ
それは、小さな幸せを大切にする事。
これは僕の考えだ…
この世界には小さな幸せですら見つけるのが困難な子供達が沢山いる。
そんな子供達を全て幸せにすることはできるのだろうか?
いいや
確実にできないと言い切れる。
だからこそ自分が生きなければならない。
懐かしい彼女の顔が思い浮かぶ…
今は彼女はどうしているだろうか?
僕を救ってくれた
あの子の涙を
僕は忘れない…
「ねぇ、今はどうしてる?」
帰ってくるはずのない返事を待った…
____。
僕のほっぺたに一粒の雫が落ちてきた
雨?違う
涙だ…
悲しい涙ではなく、暖かくて優しい
きっと、笑っているんだ。
今度は僕が手紙を送るよ
拝啓 過去のあなたへ
未来の僕より…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!