薄っすら目を開けると,天使が真上に居た。漆黒の目が,日光によってキラキラに光っている。
今日も可愛い。
私は,ただ事実を述べただけなのにな。褒めただけで照れるとか,私のあなた…可愛い過ぎるよ…。
夫婦何だから,この位は当たり前じゃない?本当だったら,もっとめちゃくちゃにしたい所だけど…朝だからね。
軽く触れる程度のキスを口にした。うんうん,照れながらやってもらうのも可愛い。
起きて,顔を洗ってリビングに向かった。
リビングのドアを開けると,朝ご飯の香りが漂っていた。
とさっさとキッチンへ行ってしまった。今の私はあなた不足。最近だって,全然スキンシップをしてない。もう少し居たいな…?
私は,席についてテーブルの上にあった新聞を読んだ。
何だか気不味い空気だな…。結婚してから,まだ3ヶ月も経ってない初々しい夫婦のハズだが…今の現状じゃ,何十年も連れ添った夫婦の雰囲気じゃないか。
そんな沈黙を破ったのは,あなただ。緊張しながら聞いてくるのも可愛いなぁ。
また気不味い空気が流れる。結婚をしたら,世の中はこんな感じなのか…?
あなたは,珈琲の入ったカップを私の所に置いた。珈琲の良い香りが鼻を擽る。
主食を出すのを忘れてしまったのか,慌てて取りに行った。さっきから,立ちっぱなし…。もっと話したいな。
手を腰に当てて怒るあなた。全然怖くないんだけど?と言うか,可愛さMAXだよ?
って言いながら,あなたが可愛過ぎるから笑みが落ちる。小さい子供を見てる様で。
あなたは,着けてたエプロンを隣に置いて,私の前に座った。あなたは何を着ても可愛いな……今度は,私のパーカーを着てもらいたい…。
二人で「いただきます」をして,食べ始めた。あなたは,お嬢様学校を通ってたから,ご飯の食べ方が綺麗。
いつの間にか,あなたの顔に見惚れてたみたいだ。「綺麗だ」と褒めると,顔を紅くする。からかいがあるな。
会話もせずに食べ終わった。二人で「御馳走様」と言って,私は食器をシンクに置いた。
あなたの可愛さに遂,口走ってしまった。まだ…バレてないかな?
もしかしたら,引かれたかも…。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!