第2話

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2018/06/09 10:08
あなた

嘘だよね…嘘だもんね…。

家族
…。
パパが倒れた。1時間前まで家族みんなで外食して、ふざけあって、笑い合ってたのに…

パパの意識がなくなるまでは早かった。もっと私が気づいていれば、1番近くにいた私が気づいていれば!
こんな風にはならなかったかもしれないのに…
救急車の音は私にとって地獄の音となった気がした。
あなたside
管でいっぱいのパパ。見ていることしか出来ない自分に腹が立って仕方がなかった。
信じたかった、もしかしたらあと数時間で死んでしまうかもしれない事が嘘だと信じたかった。
ママの無言が私にとって真実だと突きつけられるような気がした。

泣きたいはずなのに、何故か泣けなくて、そんな自分にまた腹が立って
あなた

パパの意識は戻るよね?

家族
それは無理だって…。
あなた

なんで?

家族
それは…
パパは脳出血の中でも特に重い「橋出血」になったって、脳のド真ん中にある脳幹部分の「橋」は手術もほかの神経を傷つけないために出来なくて、でも、もう目や体は動かせないし、見えないし喋ることも出来ない。って。
けど…耳だけは聴こえてるから、いっぱい話してあげてって言われた
あなた

そんなの嫌だ…。なんで?なんでパパなの?

家族
そんなの分からないよ…。
あなた

私がもっと早く気付いてたら…

家族
違う!それは違う!
あなたのセイなんかじゃない!誰のセイでもない!
家族
私らは、出来ることはちゃんとやったろ?
家族
あなたもお兄ちゃんも居たから、救急車も呼んで病院に連れてこれたがよ?
あなた

フッンッ…ナンデ…ぅっ。

家族
大丈夫、今は泣いていいの。

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