you side
やっと、やっと。
お母さんとお父さんが報われる。
ずぅっと、頑張って来たんだから。
ごめんね。
あたしがあの時言ってれば良かったのに__。
No side
2011年1月21日。
当時10才だったあたしには、荷が重すぎる事件だった。
午後7時頃。
あたしは家族と一緒に誕生日会をしていた。
今までに無いくらい、幸せだった。
次の日の朝までは___。
・
お父さんが知らない人に連れていかれる。
目の前で起こっていることが、信じられなかった。
お母さんが、あたしを抱きしめながら謝ってくる。
なんで、お母さんが謝ってるのか分からなかった。
お父さんはすぐ戻ってるくる。
って、思っていたから。
「えー、速報です。
大人気ミュージシャン,シンガーソングライターとしても活躍している“ 藍川海斗 ”さんが、
殺人を犯した。
との情報が入ってきました。」
「これ、ほんとだったら相当悲しいですね…」
「こんなことするような人じゃないですよ…?」
そんなニュースが、あたしを苦しめた。
なに、お父さんを悪者扱いしてるの、?
お父さんは、あたしと一緒に居たのに…っ。
そんな、ドス黒い感情が、
齢10才なりたてのあたしの中に染み込んできた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!