転校して1週間。
まだTREASUREの10人と一言も会話していない。
目が合っても、すぐに逸らされる。
でも、それが逆に怖い。
最近気づいたことがある。
私の持ち物が、少しずつ変わっている。
まず、教科書。
ある朝開いたら、ページの端に小さな折り目がついていた。
私が折った覚えはない。
次の日には、別のページに同じ折り目。
しかも、折られたページは全部、私の好きな詩や小説の一節ばかり。
次はペンケース。
中に入っていたボールペンが、1本だけ違うものにすり替わっていた。
黒いインクの細いペン。
誰かの私物みたいに、少し使い込まれている。
寮の部屋に戻ると、
机の上に置いておいたヘアピンが、向きが変わっている。
窓際に置いたコップの位置が、1センチだけ左に動いている。
全部、ほんの小さな変化。
でも、確実に誰かが触っている。
教室では、
ジェヒョクが私の机の引き出しを、授業中にそっと開けて何かを見ている。
すぐに閉めるから、何をしたのかは分からない。
あさひは後ろの席から、私の落とした消しゴムを拾って、
自分のポケットに入れたまま返さない。
『 (え、なんで?) 』
ドヨンは隣で、私のノートを横目で見て、
何かを書き写しているみたいだった。
廊下ですれ違うとき、
はるとが私の横を通り過ぎる瞬間に、袖で私の手を軽く掠める。
触れたか触れなかったか分からないくらいの接触。
でも、毎回同じ場所──手首の内側。
ジョンウは階段で、私が上るのを下で待っていて、
私が通り過ぎた後に、ゆっくりと後ろからついてくる。
足音は立てない。
でも、気配がする。
ジョンファンは購買で、私が買おうとしたジュースを先に取ってレジへ。
私が『 それ、私の…… 』と言いかけたら、
無言で自分のトレイに置いたまま、会計を済ませて去っていく。
3年生の4人は、もっと遠くから。
ヒョンソクさんはいつも図書室の奥の席で、私が入るのを待っている。
私が本を探している間、背後で本を読んでいるフリ。
でも、ページをめくる音が一度も聞こえない。
ジフンは旧校舎の影から、私が寮に戻る道を見守っている。
夜目が利くのか、月明かりのない場所でも、瞳が光っているのが分かる。
よしのりさんとジュンギュさんは、たまに一緒に私の後ろを歩く。
何も言わない。
ただ、歩幅を合わせて、一定の距離を保ったまま。
誰も話しかけてこない。
誰も触れてこない。
でも、確実に私の周りを、少しずつ、少しずつ、侵食している。
夜、布団の中で目を閉じると、
誰かの気配が部屋の中に残っている気がする。
「……もう、限界かも」
小声で呟いたけど、
窓の外から、かすかな息遣いが聞こえた気がした。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。