車の中で、さっくんは何気ない話をずっとしていた。好きなアニメの話、担当している園児の話、電車で酔っ払ったおじさんに絡まれた話…
ラジオの様に柔らかく、流れる様な口調でずっと話している。
きっと私に気を使ってくれてるんだよね。
さっきのことを思い出させないように。
私がパニックを起こさないように。
さっくんの柔らかな声に耳を傾けていたら、あっという間に到着した。
私はまたここで過ごすんだな…
「よろしくお願いします」という思いを込めて、マンションに一礼してから入る。
そんな私を見てさっくんが笑っていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。