第61話

#60
1,223
2020/07/23 05:37
佐久間side 



いつもの様に目覚ましをとめ、あなたを起こすために自分の部屋を出る。



昨日は随分遅かったようだ。



3時ごろにリビングで物音がしていた。




あなたの部屋の前に立ち、声をかけるが返事がない。まだ寝ているのだと思いドアに手をかける。




…鍵が掛かっている。今までこんな事はなかった。



「あなた?あなた⁉︎」



やっぱり返事がない。どうしたものかとドアの前に立ち尽くしていると、冷たい外気とともに普段は感じる事のないような異臭が漂ったきた。



心拍数が上がる。この匂い、まさか……



急いであなたの部屋の鍵をとりに行き、勢いよくドアを開ける。




真っ赤に染まった白いシーツ。机の上の血液がついたカッター。手首を押さえて意識を失っているあなた。




頭が真っ白になった。




慌てて救急車を呼ぶ。




どうしていいか分からず、阿部ちゃんに電話した。




「もしもし⁉︎阿部ちゃん⁉︎」


「こんな朝からどうしたんだよ」


「あなたが…!」




状況を伝えると、阿部ちゃんは途端に真剣な声になった。




「いいか佐久間?まずは落ち着け。お前が慌ててちゃ話にならん。救急車は呼んだな?」


「呼んだ」


「じゃあまず傷の上をタオルで硬く縛って。」


言われた通りに近くにあったタオルを手に取り、あなたの腕を縛る。



「出来た」



するとここで阿部ちゃんは何かを思い出したかのように呟いた。



「まさか…あなた酒のんでないよな⁉︎」


「…ちょっとまって」



あなたの口からはアルコールの匂いがした。



「…飲んでるかも!!」



「まずいな… よし、救急車が来たら俺のとこに運ぶように言ってくれ。」



「わかった。」




そうこうしているうちに、救急車のサイレンが近づいてきた。




「救急車もうくる。」



「わかった。じゃあまた後でな 俺は準備して待ってる。」




電話が切られると同時に、救急隊が到着した。



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