第74話

#73
1,211
2020/07/28 08:21
彼から告白された日から数ヶ月。



季節も変わり、桜も散り、木々は緑の葉をつけ始めていた。



腕の傷も完治し、精神科に通う必要もなくなった。ラウール先生は個人的に私達の家に遊びに来るようになったけど笑



ケーキ屋さんでの仕事も始め、充実した日々を過ごしている。





今日はあの人に会う。遅すぎるよな、と自分でも思った。




でも今日は特別な日だから。ちゃんと話すって決めたんだ。




連絡をすると、意外にもすぐにオッケーの返事が来た。




いつもと違う場所を指定する。





いつものカフェとは違う、少し背伸びした場所に彼を誘った。





予約していた時間に入り、彼が来るのを待つ。





しばらくすると、いつもよりしっかりした服装の彼がやってきた。





「ふっか…」



何から話せばいいか分からなくて、言葉に詰まっていると、彼はいつもと同じ様に笑った。




「久しぶりだな、あなた。急に連絡きたと思ったらいつもと違う場所指定されて、俺プロポーズでもされんのかと思った笑」




「そんな訳ないでしょ笑」





「まあ、今日は俺たちの大事な日だもんな」



「うん」




そう、今日は2人が初めて会った日。私たちは出会ってからずっと、1年に一度のこの日をとても大切にしていた。




しばらく最近の話をしながら談笑する。私が前の仕事を辞めて働き始めたと伝えると、彼はとても喜んでくれた。




お互いにある程度話終えて、少し間ができる。



今しかない。




私はふっかにあっていなかったこの期間、ずっと彼に言いたかった事を口に出した。








「ふっか、あの時は八つ当たりして本当にごめん。それから…















結婚おめでとう。」

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