鍵をドアに差し込んで気がつく。
鍵が開いている。
とたんに息が荒くなる。
どうしよう。蓮かもしれない…
ドアは開けず、思わず後ずさる
「あなた?」
「鍵が…」
すると奥から誰かが近づいてくる足音が微かに聞こえた。
思わずさっくんに抱きついて目を瞑る。
「おかえり〜」
しかし、聞こえてきたのは聞き覚えのある柔らかい声だった。
「阿部ちゃん⁉︎」
「あれ、佐久間から聞いてない?」
「驚かせようと思って〜」
「佐久間?あのなぁ…」
さっくんから今日のことを色々聞いていたらしい阿部ちゃんは、今の私に不安を煽ったり驚かせたりする事がどんなに危険か話始めた。
しゅんとするさっくんを横目で見ながら中に入ると、涼太と翔太がいた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!