第68話

#67
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2020/07/24 03:58
驚いた。なぜ阿部ちゃんがふっかの事を知っているのだろう。考えたけど、わからなかった。次あった時にふっかに聞いてみよう。



仕事の人に連絡する為に、



さっくんが持ってきてくれていたスマホを立ち上げる。




「今までありがとうございました。もう私は大丈夫です。」


短めの文章を送る。後ろから覗き込んでいた阿部ちゃんはそれを見て嬉しそうなら顔をした。



「引き留められたりはしない?大丈夫?」


心配そうに聞いてくるラウール先生。


「大丈夫です。元々私を心配して雇ってくれてたんで。この人は私がちゃんと働けることを望んでくれていました。」


「いい人なんだね」


阿部ちゃんがいう。



そう、いい人だった。ほとんど寝ずに働いて、駅で倒れそうになった私を心配して救ってくれた人だ。



「うん、とってもいい人だよ」



すぐに返信が来る。



「良かった、頑張れよ。もうこっちの世界に戻ってくんじゃねーぞ」



その一言が嬉しかった。



「無職になっちゃったから仕事探さなきゃ笑」



「あなたなら何でも出来るよ」



阿部ちゃんが私の頭を撫でる。




やっぱりお兄ちゃんみたいだ。



ふと音楽アプリを開くと、朝聴いた曲が途中で止まったままだった。



そっと続きを聴いてみる。






‘明日を夢見るから今日が変わらないんだ
僕らが動かせるのは今日だけなのさ’





もうこれからは、前だけを見よう。



私を心配してくれてる人がいる。大切に想ってくれてる人がいる。
十分幸せだったんだ。



気がつけなかっただけで、私は幸せ者だったんだ。


その事に気づけたことも、また1つの幸せだ。





数時間前に自分に絶望して死のうとしたことなんて忘れかけるほど、私は幸せな気持ちで一杯だった。







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