「3年前の夏くらいやったよな?2人が初めてここに来たの。」
「もうそんなに前なのかぁ」
「高校生カップルがふらっと入って来たと思ったら将来の話を真剣に話し始めたうえ、 門限が! とか言いながら慌てて出て行ったもんなぁ笑 びっくりしたわ!」
「ふは笑 そんな事もあったね笑」
「門限がどうのとか言ってたから兄弟なんかと思っとたで」
「え、似てる?笑」
「…似てないな」
「ふはっ笑」
2人で昔話で盛り上がっていると、奥の厨房から
「向井さーん!そろそろこっちもお願いしまーす!」
と呼ぶバイトの店員さんの声が聞こえた。
「あーい。じゃああなたまたな!」
「はい、ご馳走様でしたー」
時計を確認する。現在14:30。私もそろそろ行かなくちゃ。
「また来てなー」
そう叫ぶ向井さんに手を振りながら店を出た。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!