佐久間side
インターホンが鳴ったとき、どうしてあなたがパニックを起こしているか理解した。
彼が来てしまったんだ……
「あなた、奥の部屋に隠れてて。」
涙目で頷くあなたを奥の部屋に連れて行き、深呼吸をしてからドアを開ける。
そこに立っていたのは、モデルと言われても納得できるようなスタイルと顔立ちの持ち主だった。
「…どちら様ですか?」
「あなたを知ってるだろ?」
その男はいきなり言った。
「知りません、人違いじゃないですか?」
とぼけて帰らせようとした。
しかし彼は、ニヤリと笑ってスマホを取り出した。
「これでも知らないっていうんだ?」
「…!」
彼が見せてきたのは、あなたの部屋から出てくる俺とあなたの写真だった。
「いつの間に…」
「で?あなたいるんでしょ?佐久間さん笑」
男は不気味に笑っていた_________
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!