高層ビルの最上部にあるレストランに入ると、すぐに窓側の席に通された。
飲み物の注文を聞きにきた店員さんに、「アイスティーお願いします」とだけ伝える。
「もうコースは頼んであるからね〜」
「ねえ、私そんなにお金ないんだけど…」
「気にしないで、今日は俺の奢りだから。あなたはただ楽しんでればいいの。」
そう言って微笑む彼にお礼をいい、言われた通りただ楽しむことにした。
運ばれてきた料理は、テレビでしか見たことのない様なものばかりで、私はすっかり上機嫌になった。
「さっくん!すごい!これ美味しい!」
「そうだねぇ、美味しいねぇ」
次々と運ばれてくる料理を夢中で食べる。どれも本当に美味しい。
こんなに幸せでいいのだろうか。
綺麗な夜景。
次から次へとはこばれてくる美味しい料理。
目の前で微笑む大好きな人。
ああ、幸せだなぁ。
一通り食べ終わり、デザートを待っている。
先ほどお皿を下げにきた店員さんに、「デザートはもう少々お待ち下さい」と申し訳なさそうに言われたので、全然大丈夫だと告げ、彼と並んで夜景を眺めていた。
「なんかさ、夜景って星みたいだと思わない?」
「星かあ、そうかもね」
「私ちゃんと綺麗な星を見た記憶がないの。いつか空いっぱいの星を見てみたいなぁ…」
「じゃあさ、今度2人で行こうよ。」
「え、いいの?」
「うん、俺あなたと星みたい!」
「じゃあ約束ね!」
さっくんと星を見にいく。その約束をしただけでもとっても幸せだった。
しばらくすると、デザートが運ばれてきた。
「え?」
そのケーキに被っていた蓋が外された時、一瞬頭が真っ白になった。
誕生日などでよく使うチョコで出来たプレート。
そこには文字が書かれていた。
チョコペンで手書きで書かれた字。
そこにはしっかりと書かれていた。
「僕と結婚してください」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。