第93話

#92
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2020/08/02 22:07
君がいなくなって2週間。





俺はまだあなたを求めてる。





君の好きだった夕焼けを1人で見て、君の分の食事も作って机に並べて、一人で食べる。






君がいつフラッと帰ってきてもいいように、いつも通りの生活を送っている。




ふと、君が絶対触るなと言っていたドレッサーが目に入る。




ゆっくり近づいて、引き出しに手をかける。




全部残っていた。誕生日に友達に貰ったというネックレスも、好きなアーティスト直筆のサインも、家族の写真も。



「本当に何も持っていかなかったんだなぁ」


引き出しの奥に、小さな箱があった。俺があげた指輪をしまっていた箱。



勝手に手が伸び、気づけば開けていた。




中に指輪はなかった。




代わりに、小さく折り畳まれた紙が入っていた。



「…?」




『さっくんの1番になりたかった』




そういうことか。俺はあなたを酷く傷つけてしまったんだ。



彼女はみなみじゃない。あなただ。わかっているようで、わかっていなかった。







ごめん、ごめんあなた。



静かな部屋に自分の嗚咽する声が響く。






ふと、どこからともなく懐かしい声が聞こえてきた。







「大ちゃんが幸せにしてあげなきゃいけないのは、私じゃなくてあなたちゃんでしょ?」





そうだよな、みなみ。俺なんもわかってなかった。















ねぇあなた、俺はもう一度あの裏道で君に逢いたい。


























そうしたら俺は、今度こそ君を愛すから…………

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