第72話

#71
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2020/07/28 06:22
今日も酔い潰れた翔太を抱えて、涼太が帰って行く。





部屋には少し酔った様子のさっくんと私だけになった。




ソファーに並んで座ってゆったりと話す。




「早く仕事見つけなきゃ笑」




「あなたは働きたいの?」




「うん、ちゃんとお仕事してみたい」




「そっか、じゃあ応援する。」





「ありがと」







ワンちゃんの様な優しい顔で私を見つめる彼。ふと、彼との出会いのきっかけとなったムーンちゃんを思い出した。





「ムーンちゃん元気?」




「実家で元気にしてるみたい」




「そっか〜」




「今度会いに行く?」 





「えー、さっくんの実家はちょっと緊張するな〜」




「なんでよ笑」







長い沈黙の後、突然彼が口を開いた。






「俺もう眠いわ… あなたベットまで運んでよ〜」




トロンとした目でさっくんが呟く。





「無理だよ笑 ほら、自分で歩いて?」




手を貸して歩かせ、なんとか彼をベットまで連れて行き、座らせる。




「じゃあおやすみ」




ベットから離れようとすると、突然彼が私を抱きしめ、ベットに引きずり込んだ。



「捕まえたー!今日は一緒に寝よ?」






悪戯に笑う彼の様子を見て初めて、酔ったフリに騙された事に気がついた。
















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