今日も酔い潰れた翔太を抱えて、涼太が帰って行く。
部屋には少し酔った様子のさっくんと私だけになった。
ソファーに並んで座ってゆったりと話す。
「早く仕事見つけなきゃ笑」
「あなたは働きたいの?」
「うん、ちゃんとお仕事してみたい」
「そっか、じゃあ応援する。」
「ありがと」
ワンちゃんの様な優しい顔で私を見つめる彼。ふと、彼との出会いのきっかけとなったムーンちゃんを思い出した。
「ムーンちゃん元気?」
「実家で元気にしてるみたい」
「そっか〜」
「今度会いに行く?」
「えー、さっくんの実家はちょっと緊張するな〜」
「なんでよ笑」
長い沈黙の後、突然彼が口を開いた。
「俺もう眠いわ… あなたベットまで運んでよ〜」
トロンとした目でさっくんが呟く。
「無理だよ笑 ほら、自分で歩いて?」
手を貸して歩かせ、なんとか彼をベットまで連れて行き、座らせる。
「じゃあおやすみ」
ベットから離れようとすると、突然彼が私を抱きしめ、ベットに引きずり込んだ。
「捕まえたー!今日は一緒に寝よ?」
悪戯に笑う彼の様子を見て初めて、酔ったフリに騙された事に気がついた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。