ここに来て、2回目の食事。
「いただきます」
「ん、美味い!」
これまた幸せそうな顔でさっくんは言う。
やっぱり彼は天才だ。人を幸せにさせる天才。
「あなたって普段料理すんの?」
「うん、高校出てから1人暮らししてるから」
「すごいなぁ」
「すごくないよ笑」
不思議だ。昨日出会った人なのに、まるで幼なじみの様な、はたまた家族の様な安心感がある。
阿部くんが言ってた事がわかった。確かに彼はいい人だ。
「よし、じゃあ買い物行くからあなたは準備して〜。お皿は俺が洗っとく。」
「さっくんありがと!」
部屋に行き、髪を整え、いつもより薄いメイクをし、ワンピースを着る。
このワンピースはお姉様の物だ。昨日さっくんが「これ着ていいでやんすよ〜」と出しといてくれた。全く、どこまで気が回せるんだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。