信長たちのところに向かう途中、俺らは火を灯すための準備をしていた。
戦場へ向かうと言うのになんだかみんなとおるのが楽しくて、どうでもええ話に盛り上がる。
こんなことも俺らの青春の1ページで、これからもっと沢山の青春を味わうんが楽しみで仕方ない。
ただ一人。
俺らの青春モードに入らずに暗い顔をしていた黒田は、俺の問いかけにも黙ったまま。
俺のおふざけや龍造寺が差し出した謎の草にも一切笑いを零さず、黒田は真剣そうな顔で語り出した。
「武将のクローン」
「18歳までしか生きられない」
考えたことすらなかった自分たちの運命に、正直驚きを隠せへんかった。
せやけど、頭を下げていたのは一瞬で。
口々にそう呟いて、顔を上げた。
俺らは準備したたいまつに火をつけて、信長たちの元へと走った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!