ウジ side
次の日、ヌナを病院に連れて行った。
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なぁヌナ。
たくさん頑張ってきてやっとここまで来たのに
なんで記憶喪失なんかになるんだよ。
やっぱり“あの事”に心当たりがあったのか...
あなた side
ジフンさんに半ば強引に連れてこられた病院。
病院はあんまり好きじゃない。
この消毒の匂いとか、白すぎるベッドとか。
嫌な記憶だけがよぎる。
“君には中学以降の記憶が無いんだよ”
さっきお医者さんから告げられた。
何となく勘づいてはいたけどね。
あの男の人達は私の知り合いで、
多分、ケンカしてたんだと思う。
そういう雰囲気だった。
ダッダッダッダッダッダッ
バタバタバタバタバタバタ
...ん?
とてつもない足音が、
じょじょに近づいてくるような...?
ガラッッッッ
勢いよく開いた扉。
その音にビックリしていたのに、
大きな声で名前を呼ばれて、
そっちにビックリ。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!