重いまぶたを開けると、見たことのない天井が見えた。
横を見ると、心配そうにこちらを見る大輝がいた。
...状況が読み込めない。
私は...チームメイトと飲み会にきてて...
で、どうしたんだっけ?
ここまで運んできてくれたんだね……
そうだそうだ
水と間違えてお酒飲んじゃったんだ...
きっとチームメイトにも迷惑をかけたはず...
マネージャーとして本当に申し訳ない...
大輝が部屋から出ていった。
改めて周りを見渡すと、そこはいたってシンプルな部屋だった。
大輝、ここで生活してるのかぁ...
興味本位で目の前にある棚の引き出しを、ひとつ開けてみた。
そこには、思わず声を出してしまうほどの量の、サッカー雑誌があった。
本当に、サッカー好きなんだなぁ...
こうやって何かに熱中出来ることって、当たり前のようで実はすごい事だと思わない?
そうやって、ひとつのことに対して深く追求できる人はかっこいいって思うんだ。
なんかバカップルみたいであれだけど、別に嫌とは思わない。
私達はバカップルでもきっとバカじゃないからね!
大輝と数秒見つめあった後、どちらともなくキスをした。
鼓動が早まっていく。
……もしかしたら、この先も...
なんて考えてしまう私は、痴女かもしれない……
離れてしまった唇に、寂しさを感じながら思った。
...まてまて、なんだ、なんだこれは。
甘い、甘すぎる!!!
確かに158cmという小ささだけど、なにかわいいって……
大輝と話す時も、思いっきり上を見上げないと目が合わない。
身長差は...25cmくらいじゃない?
てか大輝も見ないうちにもっと大きくなっちゃって...
距離なんて、関係ない。
年月なんて、関係ない。
そう教えてくれたのは、紛れもなく、君だよ?
正直、怖かったんだ。
今までの距離を埋められないんじゃないかって。
過去は過去なんじゃないかって。
でも、違った。
私達は、長く想いあってる。
これからも、もっと長く続いたらいいなぁ。
そう口にしながら、思いっきり抱きついた。
そんな私を大輝は驚きながらも受け止めてくれ、「俺は大好きなんかじゃ足りない。」なんて言ってくれて...
今、この時が長く続けばいい。
前みたいに...いなくならないでほしい。
大輝といるたびに、こう思うんだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。