第121話

酩酊①
3,665
2019/04/19 06:56


 あぁ、幸せな毎日。はぁ、幸せ。なんの迷いもなくユウを愛せるなんて、ほんとうに幸せだよね。
 あ、今日は、職場の飲み会かー。久しぶりに、飲もうかなぁ。

 今日は飲み会。私の職場は、春に盛大なお花見をする。たくさんの料理とお酒、満開の桜。なんだか気分が高揚していく。
 ふだんは飲まない私も、ついお酒がすすんだ。
 ガヤガヤ。
 お花見が始まって一時間。もうまわりはすっかり酔っ払って、どんちゃん騒ぎ。私も楽しくて、グビグビとお酒を飲んだ。
 あぁ、楽しいなぁ。桜もきれいだしなぁ。はぁ……私酔ってるかな。……あー……酔ってるかも……ーー。
「杏奈ちゃんっ、こっちで飲もっ」
 上司の声。
「はぁい」
 先輩に促されて、お酒を注いでもらった。グイッと口に含んで飲み込むビールがおいしい。
「杏奈、ふだんお酒飲まないよね?」
 となりに座っている同僚から声をかけられた。
「うん。でも、たまにはね?」
「顔変わらないし、お酒強いの?」
「どうだろ」
 ふと考える。お酒飲んだのいつぶりだろう。あんまり飲むことがないからわからない。
「あ、ん、な、ちゃーん」
 と、先輩が抱きついてきた。
「美代先輩っ!?」
 ずいぶん酔っ払っているようで、おもむろに私の頬をスリスリする。

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