昼間、いつものようにメールが来た。
『愛しているよ』
ホッとしたのもつかの間、そのあとにふたたびメールが来た。
『今日は仕事があるから、自分の家に帰って』
がっかりした。私は、ユウに会いたかった。昨日も会ったけれど、今日も会いたかった。
なのに、そんなメールが来た。会いたかった。ほんとうに会いたかった。
『わかった。じゃあまた明日』
そう返事すると、自分のアパートへ帰った。久しぶりのひとりの夜は、静かでとてもさみしかった。
ユウの熱が恋しい。言葉では言い知れぬ空虚感に包まれながら、眠りについた。
それから、三日間連絡がなかった。私は毎日のようにユウの家へ足を向けた。
インターホンを鳴らしても出てこない。暗くなるまで外で待ってみた。家の明かりがつくようすはなく、人の気配もない。
携帯の着信を確認した。やはりなんの連絡もない。
肩を落とすと、重たい身体を引きずるようにその場をあとにした。
こんなこと初めてだった。これまでのユウからは考えられない。
一日に何通もメールが来た。すぐに返さないと、ユウは不機嫌になる。だから、私はトイレに立つたびにメールを確認した。
それがこの三日間ぱったりとなくなった。私は、その日バーでひとり飲んだ。
アパートへ帰り着いたのは、午前零時。携帯は一度も鳴らなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。