「気持ち良さそうな顔。もっと声出して」
ユウが触れる。電流が走ったような感覚に身体を反らせた。
「あ……ッ」
神経を掴まれたような感覚に呻く。快楽に引きづりこまれ、かろうじて保っていた理性が飛んでいく。
すごく……気持ちいい。
ユウの愛に包み込まれて酔いしれた。愛で満たされたエッチ。心も身体も奪われて、私はこれ以上ない満足感を得た。
これからは心置きなく結婚の話ができる。子どもの話だって、ユウのほうからしてくれた。歩んでいく未来は光でいっぱい。
あぁ、私、こんなにしあわせでいいのかなーー。
いっぱい愛し合ったあと、夜のうちにホテルを出た。
「僕の家に泊まればいいのに」
ユウはそう言ってくれたけど断った。
「そうしたいけど、明日持っていかないといけない書類がアパートにあるんだもん」
「そっか。じゃあタクシー呼んであげる」
「えぇ、アパートすぐそこだよ」
「でも」
「それに……ひとりで歩きたい気分なの。今すごく気持ちが高揚してるから……」
ユウは心配そうな顔をしながら私を送りだした。
心配性なんだから。でもそんなところも好き。
困ったような笑顔に、私は手を振った。ぷかぷかと浮いた気持ちのまま、夜の住宅街を歩いて帰った。
ユウからプロポーズされた。そして、婚約指輪までーー
明日……だれに報告しよう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。