レストランを出てすぐ、ユウが言った。
「ねぇ、ホテル……行かない?」
「え?」
「たまには違う場所もいいかなって」
わずかに紅潮したユウの頬。それを見て、口に弧を描いた。
「……うん。いいね」
レストランの目の前にあるクリスタルビル。夜景が見える部屋で、私たちはエッチをした。
「ぁ……」
「杏奈……すごく綺麗だよ」
「……ん」
「ねぇ……結婚したら、杏奈は子どもほしい?」
そう訊かれて私は、すこし考えた。
子どもか……考えたことなかったな。ユウの子。ーーすごく可愛いんだろうな。ユウみたいに、屈託のない顔で笑うんだろうな。
私はユウの首を手を回した。そして、自分から唇を重ねる。
「杏奈?」
「ほしい……私、ユウの子どもがほしい」
笑ってみせた。ありがとう、と言うユウの顔は、すごく嬉しそうだった。
「ユウ……」
身体から伝わる熱。押し寄せる昂ぶり。砕けるような感覚と快感に思わずうわずった声が漏れる。私の腰を掴み、規則的に強く引き寄せる手。
「……ぁ」
揺らされる熱の灯った身体。熱くて溶けてしまいそうだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。