第117話

ご褒美③
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2019/04/18 13:45


 それから、タクシーに乗ってユウの家へ帰った。玄関の鍵を外して中へ入る。緊張が解けたのもつかの間だった。
 玄関のドアを閉めた瞬間、ユウが私の手を引いた。荷物を玄関に投げ出し、階段をのぼっていく。強い力で無理やり寝室へ連れていかれると、そのまま押し倒された。舌を絡ませる濃厚なキスをされ、服の中に手が入ってくる。思わずユウを引き止めた。
「ユゥ……まって」
「だめ。この日をどれだけ待ってたと思ってるの?」
「ユウ……」
「杏奈とこんなふうにしたかった。そのために先生にも無理いって退院したんだ」
「え、そうなの?」
「当然。それに、夜ひとりにさせるのも心配だったんだよ。僕のいないときに万が一のことがあったらと思うと眠れなかった」
「大袈裟だなぁ。言い過ぎだよ」
「言い過ぎじゃないよ。それほど、杏奈を愛してるんだから」
「……うん」
 そして、再び口づけ。舌を絡め取られる。身体がゾクゾクする。ユウは私の腰に手を回すと、さらに舌を深く絡ませた。
 彼の舌が触れるたび、私の身体がピクっと揺れる。心地よい快感に引きずり込まれそうだ。
 ユウとエッチするのは二ヶ月ぶりだった。
 熱いキスを首すじに落とすユウ。電流が走るような感覚に、身体が反応する。
「服、脱がしていい?」

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