第174話

拘束④
4,233
2019/05/06 12:12


 岡田さんが、私を愛おしそうに見つめる。
 昨日までは、ただの知り合いだったのに、ただ笑って話すだけの関係だったのに、そんな人と甘い行為をしている。
 彼は私が気持ちいいと思うところに、ぜんぶ触れた。まるで、私のすべてを知っているかのように。
 私たちは、何度も何度も繋がりつづけた。岡田さんの息も次第に上がっていく。彼の吐息は甘くて、いやらしかった。私は夢中で彼の名を呼んだ。
「岡田さん……気持ちいい」
「僕も」
 身体が溶かされていく。そして、私の心と身体をやさしく繋ぎとめた。
「……岡田さん」
「ユウって呼んで」
「ッ……」
「お願い」
「……、ユウ……っ」
「もっと」
「ユウ……ッ、ユウ…………、好き……」
 ふいに出た。好きーー。
 そこで気づいた。
 あ……私、この人のこと……好きなんだーー。
 すると、岡田さんが、私に微笑んだ。優しい優しい笑み。
「……僕も……大好きだよ。ーー杏奈」
 そして、彼は……ユウは果てた。
 こんなに懐かしい気持ちになるもの、こんなに愛しいと感じたりするのも、岡田ユウ、あなたひとりだけ。
 思い出せなくてもいい。私はあなたが好きだ。


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