「ァ……」
乱れた息を吐き出す中に混じる甘美な声。自分でも驚くほど艶々とした潤いのある声だった。
身体が熱い。神経を撫でられているみたいだ。
「相変わらず、敏感」
相変わらず? その意味を私は知らない。
指の腹が快感を伝えるスイッチを押していく。ひとつひとつ丁寧に確実に。みっともないほど素直に、私は快楽へ引っ張られていった。
彼の舌と手と言葉によって私は快楽という魔法の液体で満たされた海に溺れていく。もがけばもがくほど、深いところまで沈んでいった。
「岡田さん……」
「あぁ、その顔すっごい、いい。ねぇ、こっち向いて」
岡田さんが、私の顎を引いた。そして、顔を寄せると唇を重ねた。柔らかな彼の舌、甘い吐息ーー。
「お、かだ、さ……、」
「可愛いね」
情緒たっぷりの視線に釘付けになる。身体全身が電流を浴びたように火照っている。息の上がった私を見つめる岡田さん。彼がズボンに手をかけた。
私はなにも言わなかった。嫌とも、やめてとも、言わなかった。だって、私も最後までしたかった。岡田さんと。
私たちは繋がった。
「……岡田さ、ん」
「杏奈ちゃん……」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。