光は彼方先にある気がして届かないものなのだと思っていた。つかみどころがなくてそれは見るだけにとどめるべきものだと感じていた。
ちがう。目の前にある。あなたという光はちゃんと私の手の中にーー。
ごはんを食べに行こうと言われて、てっきりいっしょに行くのかと思っていた。ちがった。
「えー、待ち合わせ? いっしょに行こうよ」
「だめ。形上、待ち合わせしたいんだよ」
は? 形上ってなにそれ。
「えぇ、でも」
「お願い」
とユウが言うものだから、仕方なく了承した。
「わかったよ」
「あ、ちょっとだけきれい目な格好でね」
ユウが、さらりとそんなことを言う。
「そ、そんなかしこまったレストランなの!?」
「いや、ふつうくらい」
ふつうくらいって……なに?
意味不明だった。
とりあえずそんなこんなで予約当日。場所も聞かされないまま、待ち合わせ場所へ。一応、ドレスを着てみた。
ろくに持ってないから買っちゃった。うーん、お店の人が選んでくれたけど似合ってるのかなぁ。
オフホワイトのショートドレス。
……胸もと開きすぎかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!