この世のどんな悪よりも、目の前のものがおぞましい
しょっぱなから。もうすでに女の人とユウは繋がっていた。
私は目を離せなかった。目隠しをされ、椅子に縛りつけられたユウ。その上で淫らに動く女の人。
ユウは、ただされるがままだった。スーツを着たまま、ズボンだけをおろされーー。
「ァ……すごいっ、ユウっ」
「っ……」
「ねぇ、もっとっ、……もっとほしいんでしょ? ほら、言ってっ」
「…………ッ」
「あぁ、その顔やばいっ」
繰り広げられる淫らな性行為。女の人は、ときおりカメラのほうを向いた。そして、ニタリと笑うと、見せつけるように腰を動かした。
ユウの郵便受けをのぞくたびに入っている手紙。真っ白な手紙に書かれた差出人の字。丁寧で、それでいて可愛らしい。桜子。
あなたはだれ?
いつも心の中で語りかけていた。その人物が、目の前にいる。画面の向こう側で、私の愛するユウと女の人がエッチしてる。
……ウソダ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。