第154話

違和感①
2,718
2019/04/30 13:01


 ジムへ見学に言った日から一週間後、岡田さんの家へ行くこととなった。彼は迎えにいくと言ってくれたけれど遠慮した。恋人でもないのに申し訳ないと思った。
 携帯のナビを頼りに駅から歩く。もう着きそうだというとき、ふとひとつの家が目に止まった。
 一際大きな白い家。岡田さんの自宅から斜め向かいにある。なぜか気になって立ち止まった。
 立派な家だけど、どこか殺風景に見えるのは人の気配がしないせいだろうか。庭の手入れは行き届いているようだけれど、家の中は見えない。すべてカーテンを閉め切っていた。
 ……だれも住んでいないのかな。
 そこまで考えたところで、要らぬ心配だと気づく。
「って、なに考えてんだろ。人の家のことなんて気にする必要ないのに」
 バッグを肩にかけ直すと、向き直った。
 岡田さんが家で待っている。エスプレッソマシンで淹れたコーヒーが楽しみだ。インターホンを鳴らすと、すぐに彼が出てきた。
「いらっしゃい。迷わなかった?」
「はい。ナビのおかげで」
「そう。さ、入って」
「おじゃまします」
「どうぞ」

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