第26話

翻弄⑥
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2019/03/30 03:01


「ストーカーに感じるなんて、きみも結構いやらしいね」
「ちが……ひどい」
「ひどいのはお互い様だよ。僕はずっときみを遠くから見てた。ずっと嫉妬してた。だから今度は僕の番」
「……ユウ、ねぇ」
「杏奈。僕はきみに嫉妬してもらいたい。もっともっと。だから、ね?」
「嫉妬だなんて……私」
「あ、携帯が鳴ってる。そう言えば、大手取引先の女の人から会いたいってメール入ってたんだった。大事な取引の真っ最中だから、無視できないんだよね。じゃ、杏奈。また後でね」
 そう言ってユウが背を向ける。
「ユウ……っまって」
 引き止めるも、ユウは行ってしまった。
 私はその日あまり眠れなかった。身体が熱を帯びて妙に落ち着かなかった。
 それからも監禁生活はつづいた。逃げだす機会をうかがいながら過ごした。その間も、私の頭は疑問ばかりだった。
 ユウ、どうしてこんなことをするの? 私のことを愛しているのになぜ? それほどに私を閉じ込めていたいの?ねぇ、ユウ。私はあなたがわからない。

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