第118話

ご褒美④
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2019/04/18 13:46


 ユウが私の服に手をかける。
 その言葉に私は慌てて制した。
「ユ、ユウっ、まって」
「……なに?」
 ジロリと睨まれてしまった。
 実は気にかかっていることがあった。それは、先生からの指導。
「足の傷はまだ完治ではありませんからね。無理はしないこと。いいですか? 杏奈さんも、彼をちゃんとみてやってくださいね」
 私もそこにいて、念を押された。無理をさせてはいけない。激しい運動もまだ控えるように、と言われた。
 私なりに考えた。
 激しい運動…………とは? …………エッチだって例外じゃない。
 ーーうん。
 私は一度おおきく頷くと、彼のほうを向いた。
「え、なに?」
 ジッと見つめると、ユウの身体が微動する。
「……ユウ、あのね」
 私は意を決して言った。
「今日は……だめ」
「は……だめってなにが?」
 ユウの眉間にシワがよっていく。私はつめよると、人差し指を立てた。
「先生が激しい運動しちゃだめって言ってたでしょ?」
「うん」
「だから、今日は……ね?」
 訳がわからないと言った顔をするユウ。しばらくしたのち、彼が呟くように言った。

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