いつものようにキスから始まり、何度もユウとつながった。ユウが満足そうに眺めて耳元で囁く。
愛してるーー。
そう言って私を何度も抱いた。気持ちの昂ぶった時のユウは、なかなか寝かせてくれない。
狂おしほどの愛を一晩中受け止め続けた。
それはとても甘くて濃厚な夜だった。
翌日、もちろん寝坊した。
「ユウっ、遅刻しちゃううっ!!!」
「ごめんね。タクシー代払うから」
「えええ、タクシーなんてこっからだと高すぎるっ」
「いいよ。僕が寝かさなかったし」
ユウは、ほんとうにタクシーを呼んでくれた。
なんだかんだ優しいユウ。
ユウがいればそれでいいの。それで……ほんとによかったの。でも、現実は私たちに冷たいね。
私はただいっしょにいたいだけなのにーー。
ユウのそばで笑っていたいだけなのにーー。
どうしてこうも引き離そうとするのかな。
ニコニコと笑いかけるユウ。そんな彼はもういない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!