第70話

再会①
5,210
2019/04/08 12:30


予想。というか半分は勘。女の勘みたいなもの。
 映像に映っている窓の形とか、そこから見えるわずかな外の景色。それらを照らし合わせる。あとは、自分の勘。
 そして、導き出した。ユウが監禁されていると推測した場所。 それは、ユウの家から斜め向かいにある家だった。
 いつも大きな家だな、と思っていた。ときおり使用人らしき人が出入りしているのを見る。けれど、住んでる人を見かけたことはなかった。
 まさかこんな近くにいるなんて。そんなことあるだろうか。けれど、その予想は捨てきれなかった。
 私は、ゆっくりと息をした。そうしたのち、インターホンに手を伸ばした。
 しばらく待った。玄関のドアが開く。じわりと開かれたドアの向こうにいる女性。
 私は、驚きの感情を余すことなく表情にのせた。真っ白な白いワンピース。ストレートな長い髪。お人形のような顔。そこにいたのは、桜子だった。
 私は、声が出せなかった。彼女は、ほんとうに斜め向かいの家にいた。
 まさか……こんな近くに……いたなんて。
 驚き立ち尽くしていた。と、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
「だれかと思えばあなただったのね。杏奈さん」
 高音の透きとおった声。生で聞いたのは初めてだ。お姫様のようにおしとやかな態度に背筋が凍る。桜子は私のことを知っている。そして私がここにきた理由も。

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