第157話

違和感④
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2019/05/01 14:28


「すごいなぁ。私なんて、いつもぼうっとしてるから、……頭も良くないし」
「僕だって、そんなに頭良くないよ」
「きっと良いのでしょう?」
「なに言ってるのかな?」
 ほんと、私……なに言ってるんだろ。
 私はごまかすために、べつの話題を切りだした。
「岡田さんは、彼女とかいないんですか」
 一瞬、彼の顔に影がかかった気がした。ギクリとした。しばらくして、岡田さんは呟くように言った。
「……今はいない、かな」
 まずいこと言ってしまったと後悔した。
「ご、ごめんなさい。へんなこと訊いて」
 けれど、岡田さんはすぐに笑ってくれた。
「ううん。ぜんぜん気にしてないからだいじょうぶだよ。あ、コーヒー、おかわりいる?」
「はい」
「淹れてくるよ」
 岡田さんが立ち上がる。
 ーートイレ行っとこうかな。
 私も、腰をあげた。
「岡田さん、お手洗い借りてもいいですか?」
「うん。つきあたりを右にいって、それから」
「あぁ、だいじょうぶです。知ってますから」
「え?」
 岡田さんの動きが止まった。ハッとして口に手をあてた。

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