図星だった。ユウは私に夢中なんだと思ってた。けど、違う。ほかの人を抱けるくらい軽い気持ちだった。それを知って、嫉妬心に火が灯った。
ユウは私のもの。だから、だれにも渡したくない。監禁されたのは私。けれど今は違う。自分から望んでユウを求めている。
言いたくない。でも、言わずにはいられない。だって、言わないと……また他の人に取られてしまう。
顔を上げた。それから、ユウをジッと見つめる。すこし驚いた顔のユウ。
「杏奈?」
私はゆっくりと口を開いた。
「監禁するなら責任もって……私のこと見てよ……」
「え?」
「なんで……あの人とはするのに……私には……してくれないの?」
「……杏奈、それって」
「私……ユウと……したい」
言ってしまった。こんなこと言いたくなかった。でも、言ってしまった。
自分からしたいなんて、恥ずかしくて情けないことをストーカーに。私、なんて淫乱なの……?
もぅ……やだ……。
涙がこぼれそうになった。 その時だった。ユウがいきなり私を抱き上げた。突然宙に浮いた私は、慌てて足をばたつかせた。
「っ……ユ、ユウ!? ちょっと、なにするの?」
けれど、ユウは何も言わない。無言で私を抱えていく。
廊下を出て、二階へ。ドアを開ける。そこはユウの寝室だった。ユウがベッドに私をおろす。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!