第42話

嫉妬②
9,793
2019/04/02 08:13


 ほんとうにその通りだ。監禁した本人のセリフとはおもえない。けれど、ユウがそれを望むなら仕方ない。しぶしぶ了承した。
 そして、久しぶりに自分のアパートへ戻った。家に帰るとまず、職場に連絡した。何度も頭を下げて謝った。同僚からも何があったのかと訊かれたけど、笑ってごまかした。
「急に旅行へ行きたくなっちゃって。心配かけてごめんね」
 ユウのことは一言も言わなかった。
 翌日から仕事へ行った。私は何事もなかったように働いた。けれど、それは形上。仕事が終わると、自宅へは向かわない。ユウの家へ行く。
 インターホンを鳴らす。ドアが開いた。愛しい人が私を待ちわびたように出迎えてくれる。
「おかえり、杏奈」
「ただいま」
 私はユウに向かって微笑んだ。

 家へ入るとユウは私に手錠をはめる。そうすることで、安心するのだと彼は言った。私はそれを受け入れる。
「今日も、ちゃんと僕のもとへ帰ってきてくれたね」
「うん」
「可愛い杏奈」
 私をやさしく抱きとめるユウの声。色っぽくて、ドキドキする。
「ねぇ、今日の仕事はどうだった?」

プリ小説オーディオドラマ