手越との一件があったあとやっとシゲに勉強を教えて貰える事になった。しばらく気まずい雰囲気になり、最初に口を開いたのは以外にもシゲだった。
謝るのは私の方だと思った。あんなの振り切っちゃえば良かったんだ。そしたらシゲにあんなこと言わさずに済んだのに。
シゲが強引に話を逸らしこの話と共に少しジメジメとした雰囲気も無くなった。そしてシゲが何処が分かんないの?って聞いてきたから私は、
と言ってシゲを引き留めれるだけ引き留めた。
その後ガッツリ怒られた。だけどそれでも昼休みいっぱいいっぱいまで根気よく教えてくれたシゲの解説はとても分かりやすくて、私はその後の数学の授業も少しいつもより楽しく受ける事ができた。シゲはこんなことを言っていた。
そう言ったシゲの目は悲しげで、小さい時からいつも色んな親の会で一緒に遊んで来たけど、こんなシゲは初めて見た。私はこの人の人生を何とかしてあげたいと思った。
この言葉に私は、こんなことを思った。せめて、シゲの好きになった人と結婚出来ますように。そしてあわよくば教師になれますように。
シゲはいつも自分に自信が無い。だけど私はシゲほど気を遣わなくて良くて、話しやすいのは、シゲくらいしか居ないと思う。いつも私はシゲに助けられて来た。だからどうにかして助けてあげたいと思った。
私は勢いで色々シゲのいいところを口走った。シゲの説明くらい詳しく、分かりやすく。
って言われたけど、私は本当にシゲの人生を救ってあげれればと思った。
私が答えも出ない事に悩んでいると、
びっくりして言葉がしばらく出なかった。次にシゲに、
と言われてやっと脳が事態に追いついた。
こうして、卒業まで付き合う事になった。
幸せな気持ちになった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!