*あなたside
第2セットが始まって少しして向こうがタイムアウトを取った
あなた「お疲れ様です!」
海「ありがとう」
私は、一人ひとりにドリンクとタオルを渡した
あなた「山本先輩、お疲れ様です!」
山本「お、ありがとな!!」
山本先輩は私と話すことに慣れたのか、話す時は赤面しなくなった
タオルを渡す時に、私の手に先輩の手が触れた
山本「!? プシュー////」
あなた「あ、ごめんなさい…!」
夜久「ちょっとは慣れてきたと思ったんだけどまだダメか」
山本先輩はその場に倒れていた
一方で私は、普通にするよう努めた
……普通にできてるかな?
自分の気持ちに気づいてから、先輩を見る度に心臓が高鳴った
さよ『"マネージャー"の前にあなたは"一人の女の子"なんだからさ、別に選手を好きになったっていいと思うよ』
さよはそう言っていた
さよの言うことも一理あると思った
選手を支える立場であるマネージャー
そんな立場にある私が、選手に私情を挟んではいけないと思う
それに私は、音駒のバレーが大好きだ
そこに私の気持ちを持ち込むのは、みんなに失礼だ
だから私は先輩への気持を隠すことにした
黒尾「相変わらず、すっごいな……」
クロくんがベンチに置いてある文字が敷きつめられたノートを見て言った
あなた「え、変??」
孤爪「変っていうか……ね」
ボトルを置きに来た研磨くんがそう言った
なに、その間は……
あなた「あ、もうタイムアウト終わるね」
孤爪「……疲れた」
あなた「もう少し頑張って!家帰ったら昨日作ったアップルパイ届けに行くからさ!」
孤爪「ほんと……?」
あなた「うん!」
そして、試合が再開した
ピピーッ!
クロくんと研磨くんの速攻で試合が終了した
第2セットの結果は26:24だった
「「「ありがとうございました!!」」」
そうして、今日の試合は終わり、他校の観戦のためスタンドに向かった
「うわ、井闥山だ……!」
「え、シードなのに今日あんの?」
「さぁ……観戦じゃね?」
周りの人達の注目の的は向こうから歩いてくる強豪校・井闥山学園だった
黒尾「あれ見ろよ」
クロくんがちらっと見た先にいたのはくせっ毛の人
夜久「あれが"関東の佐久早"か……」
"佐久早"……?
少し疑問に思っていると、そのくせっ毛の人と目が合った
とりあえず会釈をした
すると、その人はこっちに向かってきた
「………なんであなたがここいんの?」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!