あなた「けーんーまーくん!」
私は後ろから研磨くんに抱きついた
孤爪「わっ、あなた…!////」
すると、身体を引っ張られ、研磨くんから引き剥がされた
黒尾「はい、離れよーねー」
あなた「なんでいつも邪魔するのさー」
黒尾「なんでって…ずるいから?」
あなた「なにが?」
黒尾「俺だって研磨とイチャイチャしたい♡」
孤爪「クロ…」
黒尾「…ねぇ、ガチで引かないでよ」
私はそんな二人を見て笑った
…2人は、どうして私なんかと一緒にいてくれるんだろう
顔も性格も可愛くない上に、運動もできない
マネージャーだって、手伝ってもらってばっかりで……
黒尾「あなたチャン?家着いてますよ」
あなた「え?あ、ほんとだ」
また、ぼーっとしちゃった…
私は家の玄関を開け、中に入った
あなた「じゃーね!」
できるだけ、いつも通りにそう言った
そうしなきゃ、2人に迷惑かけちゃう……
黒尾「おー」
孤爪「ばいばい」
2人は、いつも通りにそう返した
ご飯を食べてお風呂に入ってから、私は自分の部屋にいた
『いいよね、マネージャーは』という女子の言葉が頭にこびりついて離れなかった
私がマネージャーになったのは…
たまたま、クロくんと研磨くんと知り合いだったから…
たまたま、音駒の男バレにマネージャーがいなかったから…
たまたま、バレーの知識があったから…
もし、私がクロくんと研磨くんと知り合いじゃなかったら…
もし、音駒の男バレにマネージャーがいたら…
もし、私にバレーの知識がなかったら…
私はマネージャーじゃなかったのかな…?
あなた「…やめた、考えないようにしよ」
どんどん募っていく不安を誤魔化すように、私は眠りについた
孤爪side
孤爪「…ねぇ、あなたなんか変じゃなかった?」
あなたが家に入って2人になった帰り道、隣を歩くクロにそう聞いた
黒尾「何かあったのは確かだな……でも、あいつから言ってくるまで俺からは聞かない」
クロは前を見ながらそう言った
孤爪「そっか…」
クロのその考えは、あなたのためを思ってのことだろう
きっと、クロはあなたが好きなんだと思う
あなたを見るその眼は、ほかの女子を見る時とは明らかに違う
嬉しそうに…愛おしそうにあなたを見つめるんだ
だから、あなたの変化にもすぐに気がついてる
いつも、俺が気づくよりも前に……
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!