第29話

バレーをする理由
6,810
2020/10/04 09:45
*あなたside



私は佐藤さんと一緒に体育館裏にやってきた



私は佐藤さんの方を向いた



あなた「さよに謝って」



そう言うと、佐藤さんはキョトンとした



佐藤「あなたにしたこと、怒ってないの…?」




あなた「怒ってはないよ、嫌だったけど…」



だけど……



あなた「関係ないさよを巻き込んだことは怒ってるよ」




すると、佐藤さんは頭を下げた



佐藤「ごめんなさい。あなたを妬んで嫌がらせし続けた。他の子にも、私があなたの悪口言って協力させた。その上、あなたの友達まで巻き込んだ。謝って許してもらえるとは思ってないけど……」



私はその場にしゃがんで、佐藤さんの顔を覗きこんだ



あなた「謝ってくれたから、もういいよ!でも、さよにもちゃんと謝ってね」



佐藤「許して…くれるの……?あんなに最低なことしたのに……?」



佐藤さんの目には涙が溜まっていた



あなた「まぁ、確かにいい事ではなかったよね。だけど、そこまでさせる理由が私にあったんだから私も悪いよ。ごめんね」



私がそう言うと、佐藤さんの目から涙が溢れて止まらなくなった



佐藤「…んで…なんで、そんなに優しいのよぉぉ!」



佐藤さんはその場に崩れ落ちた



私はそんな佐藤さんの頭を撫でながら、ハンカチで涙を拭った



あなた「そんなに泣いたら、可愛い顔が台無しだよ?」



佐藤「うっ……うぅぅ……」



子供のように泣きじゃくる佐藤さんを見て、本当に悪い子ではないと感じた






しばらくして、佐藤さんが落ち着いてきた



佐藤「…………」




あなた「私、今からさよの所行ってくるけど……一緒に行く?」



佐藤「!……うん」




そうして、私と佐藤さんはさよのいる保健室にやってきた



コンコン



保健医「はい、どうぞー」



ガララ



あなた「さよ、居ますか?」



保健医「さよちゃん、お客さんだよー」



さよ「はーい」



奥のベッドでさよがカーテンを開けた



あなた「さーよー!!」



私はさよに抱きついた



さよ「ぐえぇ!」



あなた「大丈夫!?」



さよ「今が1番苦しい……」



あなた「あ、ごめん」




私はさよから離れた



さよ「試合お疲れ様。クラスの子にビデオ通話で見せてもらった。すっごいかっこよかったよ」



さよは笑顔でそう言った



あぁ、どうして忘れていたんだろう…



こうして、私の味方でいてくれる存在を…



みんなに蔑まれていた頃、兄と幼なじみは私の味方でいてくれた



いつも心配してくれた



なのに私は、自分のことばかりでそんなことさえも忘れていた






それに、やっぱりバレーの試合は楽しかった



今日、改めて自分はバレーが大好きだと実感した





バレーをする理由なんて、それで十分だったじゃないか




私は、チームメイトに陰口を言われる怖さからずっと逃げ続けていた



私は、なんて馬鹿で臆病者なんだ……

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