第10話

背中の大きさ
8,583
2020/08/22 02:58
黒尾「研磨、歩きながらゲームするなって言ってるだろ?」



孤爪「…周りに車はいないしいいでしょ」



黒尾「そーゆー事じゃなくて…ハァ」



私たちは今日も3人で帰っていた



だけど、私の気分は上がらないままだった



孤爪「あなた、着いたよ」



気付くと、いつの間にか家の前だった



あなた「あー、うん…また明日ね」



黒尾「朝練忘れんなよ」



あなた「うん」



そう言って私は、家の中に入った



おばさんはまだ帰っていなくて、家には私一人だった



あなた「なんか作ろ…」



私は冷蔵庫の中を覗いた



あなた「まじか…なんもない」



スーパーでも行くか…



私はTシャツと短パンに着替えてスーパーに向かった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「ありがとうございましたー」



私は近所のスーパーで買い物を済ませて家に向かっていた



あなた「明日の弁当の分も大丈夫そうかな」



弁当で思い出した……クロくんになんかお返ししなきゃ



何がいいかな…?



そんなことを考えていると、誰かが私の肩を叩いた



あなた「ひっ……」



?「そんな格好で歩いてるなんて危ないですよ?














































































































お嬢サン?」



あなた「ク、ロくん…?」



恐る恐る振り返るとそこに居たのは長身のトサカ頭だった



黒尾「あったりー」



クロくんは戯けてそう言った



あなた「こ、怖かったのに…((泣」



ポロッと私の目から涙が零れた



黒尾「え、おま、泣いて…!?」



あなた「泣いてないもん!((泣」



強がってそう言ったけど、涙は止まらなかった



黒尾「悪い……やりすぎた」



クロくんは私の目から溢れた涙を指で拭いながら言った



あなた「ん……」



少しすると落ち着いてきて、涙も止まった



あなた「ごめん…昼も夜も迷惑かけた」



黒尾「俺のせいでもあるから」



気にすんな、そう言ってクロくんは笑った



あなた「でも、昼のは違うじゃん…」



黒尾「まぁ……あ、じゃあ俺の弁当作ってよ」



あなた「弁当…?」



黒尾「そ、俺いつもパンだからさ」



お礼ってことで、とクロくんは言った



あなた「そんなことでいいの?」



黒尾「え、なになに、イイことでもしてくれんの?」



クロくんはニヤニヤしながら言った



あなた「いつもどのくらいの量食べる?」



黒尾「え、スルーですか」



あなた「…いらないの?」



黒尾「いります。」



あなた「うむ」



その後、クロくんは家まで送ってくれた



その背中がいつもより少し大きく見えたのはきっと気のせいだ

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