第37話

"繋ぐ"
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2020/10/11 08:44
*あなたside



タイムアウトの後から犬岡が10番をマークし始め、少しづつ追いついてきた



ブロックはデディケートシフト(※)にして、10番の動きの誘導を図った



(※デディケートシフト:3人を右 または左に片寄らせるブロックの配置)



あなた「犬岡は頭を使ったプレーは全然ダメだけどひとつのことを徹底してやれば力を発揮する_」



10番の速攻に犬岡が触れ、夜久さんが上げた



それを、研磨くんはツーアタックで返した





そして、今度は影山がストレートを打った



あなた「相変わらず、ハイスペック……笑」



芝山「烏野のセッターすごいね!」



あなた「ね!まぁ、研磨くんも負けてないけど!」



研磨くんは"予測"が上手い



研磨くんは私のことを怖いと言ったことがあった



プレーの特徴や何やらを全部見られてるみたいだ、って



でも、私からすればそういう点では研磨くんの方が怖い



なぜなら『この人はこういうタイプできっとこう動く』っていう予測が怖いほど当たるから




私はコートにいる研磨くんを見た



視線でフェイントをして烏野の11番を惑わした




そして、どんどん音駒は烏野に追いついて……



犬岡も10番に慣れてきて……




ついに音駒のマッチポイント




向こうのリベロが上げたボールを影山は10番に上げた




だけど_



ピピーッ



犬岡「やっと捕まえた!!」



犬岡が止めた。





少しして、第2セットが始まった



犬岡が10番を止めて、止めて、止めて…




また、10番にボールが上がった時



あなた「目、開けた……!」



芝山「え?」



今までずっと目をつぶっていた10番が目を開けた



たまらず烏野はタイムアウトをとった



あなた「トス、変えるんですかね」



猫又「かもな」



私はみんなにドリンクとタオルを渡した



黒尾「なんかまた変なことやんの?」



あなた「んーっと、今までの一直線なトスじゃなくて山なりのトスに変えるんだと思う」



夜久「じゃあ、普通の速攻ってこと?」



あなた「多分……」



犬岡「なんでもいいけど、俺が止める!」



犬岡は胸を張ってそう言った



あなた「うん、頑張って!」




案の定、影山はトスを変えてきた



だけど、なかなか上手くいかないようでちょくちょく失敗している



そんなこんなで、もう15烏野18音駒



そんな時にクロくんが前衛にあがった



影山は10番に何か言っていた



今までの速攻に戻すんだろうな……



だって、クロくんからしたら普通の速攻の方が止めやすいし




その後、福永先輩のバックアタック、クロくんのAクイック·一人時間差で音駒は20点台に乗った




だけど、ちょっとすると烏野も20点台に乗ってしまった



監督はタイムアウトをとった



猫又「焦ってねえな?」



「「「ハイ!」」」



猫又「ならいい しっかり繋ぎなさい」





研磨くんのツーアタックで音駒はマッチポイントになった



でも、向こうの1番が決めて烏野は23点になった




そして、影山は3番にトスを上げた



それを夜久先輩が上げた



でも、向こうのチャンスボールだ



3番のダイレクトを福永先輩が上げた



芝山「ああっ…また烏野のチャンスボール…!」



あなた「うん…でも……まだ落ちてない」



猫又「そう、不格好でも攻撃の形に出来なくてもボールを繋いでいる限りは負けないんだ」




「チャンスボォォル!!」



向こうの5番が叫んだ



影山は10番にトスを上げ、例の速攻を打った



しかも、犬岡のブロックを避けて…



夜久先輩が上げたけど、ネットに当たってしまった



海先輩が上げたけど、上手くいかず床に落ちていった



猫又「強いスパイクを打てる方が勝つんじゃあないんだ」



そのボールを研磨くんが向こうに返した




猫又「ボールを落とした方が負けるんだ」



ボールは向こうのラインギリギリに落ちた



猫又「これが"繋ぐ"ということだ」

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