第54話

質問
4,459
2020/10/25 08:32
*あなたside




あなた「あのぉ……これ、まだ並ぶんですか?」



赤葦「ここまできたら、ね」



なぜ私が、学校も学年も違う赤葦さんとカフェの行列に並んでるのか



それは、遡ること40分前__




今日は体育館の点検で部活が休みだったので、少し離れた書店にやってきた



あなた「相変わらず大きい……」



入ってすぐに、スポーツ誌のコーナーに向かった



すると、



あなた「あ、」




赤葦「あ、どうも」



赤葦さんがそこにいた



あなた「お久しぶりです、赤葦さん」



赤葦「久しぶり、空井さん」



赤葦さんとは時々連絡をとっていたので、私に対する敬語はやめてもらった



赤葦「ここ、音駒から遠いよね?」



あなた「そうなんですけど、近くで1番大きい書店ってここだけなので」



赤葦「あぁ、たしかにここ大きいよね」



そう言った赤葦さんの手には月バリがあった



その表紙には『牛島若利インタビュー』という見出し



赤葦「あ、空井さんも月バリ買う?」



あなた「はい!」



私は、棚にある月バリを手に取った



あなた「では、私は…」



赤葦「ねぇ、このあと時間ある?」



『失礼します』と言う前に赤葦さんがそう言った



スマホで時間を確認すると、まだ5時にもなっていなかった



あなた「大丈夫です!」



赤葦「じゃあ、ちょっと付き合ってくれない?」






あなた「え、ここですか?」



赤葦さんに連れてこられたのは、書店の近くにあるおしゃれなカフェだった



赤葦「前から気になってたんだけど、男一人じゃ入りづらくてさ」



『ダメ、かな……?』と赤葦さんに言われた



ちょっとシュンとした顔で見つめられたら、頷く他ない





そして、冒頭へ戻る……



「次の方どうぞー!」



赤葦「俺たちの番だよ、行こっか」



赤葦さんは私の手を取り、店内へ入って行った



「ご注文は如何なさいますか?」



赤葦「俺の奢りだから好きなの食べていいよ」



あなた「そ、そんな!悪いですよ!」



赤葦「いーから、奢られて?」



さっきとは打って変わって、凛々しい表情でそう言われた



あなた「じゃあ……ミルクレープで」



赤葦「俺は、モンブランで」



そう注文すると、店員さんがにこやかに言った



「当店は毎週水曜日、カップル割というものがあります!カップルでご来店のお客様は、ケーキ1個分無料になります!」



店内はカップルだらけ



私たちもそうだと勘違いされたのだろう




あなた「あ、私たちは……「カップルです」え、」



「では、会計時にこちらの券をお渡し下さい!」



店員さんはカップル割引券を置いて行ってしまった



あなた「赤葦さん……!!」



赤葦「ごめん、でもその方がお得でしょ?」



私は、奢ってもらう側だから何も言えなかった




赤葦「今日はなんだか静かだね?」



あなた「え?そうですかね……?笑」



赤葦「うん、もしかして元気ない…?」



ドキッとした



鋭いなぁ……



あなた「ちょっとだけ、です」



赤葦「そっか……俺じゃ力になれないかな?」



あなた「じゃあ、質問してもいいですか?」



赤葦「いいですよ」



私は朝のことを思い出した



美人な先輩と、その人に見とれる山本先輩



あなた「赤葦さんが『あの人になりない』って……『もし自分があの人なら』って思う時は…どういう時ですか?」



赤葦「うーん……その人に憧れを抱いた時、もしくは妬ましく思った時かな」



赤葦さんはちょうど来たケーキを受け取りながら言った



あなた「妬ましく……?どうして、そう思うんですか?」



赤葦「自分はその人に及ばないと悟った時とか……あとは、」








『恋した時じゃない?』








あなた「こ、い………?」



私の頭に、山本先輩の顔が浮かんだ



山本『あなた……!//』



顔を赤く染めて、はにかみながら私を見る先輩__













































































































































































あぁ、私って山本先輩のこと、好きなんだ…///

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