*あなたside
対加芽田商業の練習をして、ついにインターハイ東京予選の日になった
スタメンはクロくん 海先輩 研磨くん 福永先輩 山本先輩 犬岡 そして交代で夜久先輩だ
ピピーッ
「「「「よろしくお願いしまーす!」」」」
あなた「……始まってしまった、」
直井「ちゃんと見とけよー」
あなた「公式戦って緊張半端ないですね……」
猫又「なーに言ってんだ、何回も出てるだろ」
あなた「コートとベンチだと全然違うんです……」
いつもなら試合が見れて嬉しいのに、胃がキリキリする
あなた「胃腸薬が欲しい………」
*芝山side
__とか言ってたのに
ペンを強く握りノートに書きなぐっていく空井さん
さっきまでは『緊張する』なんて言っていたのに、今は試合に集中している
チラッとそのノートを覗いてみた
『⑦レシーブ苦手 (1年の可能性あり)
③ジャンフロ スパイクサーブ←使い分け
④クロス得意
⑩アウトしがち
②スパイクサーブのみ→コントロール力高い』
いつもよりは乱れているものの、割と綺麗な時でそう書かれていた
この短時間でよく気づくよね……
向こうの3番のサーブになった時だった
あなた「……ジャンフロか」
芝山「え、なんでわかるの?」
あなた「あの人、スパイクサーブの時はボール回すけど、ジャンフロの時は……ほら」
そう言われ、見るとバシバシと音を立ててボールをついていた
あなた「あの人のルーティーンみたいだね」
DVDではあんま映ってなくてわかんなかった、と空井さんは言った
直井「……ばけもの」
芝山「……わかります」
犬岡くんは1年なのにスタメンに選ばれてるし、灰羽くんもどんどん成長している
そして、空井さんは……
あなた「あのセッター……あの人との速攻苦手そう……」
僕に見えないものも空井さんの目は捉えているのだろう
僕よりももっと、もっと先にいる
僕だけ置いてかれるわけにはいかない
ピピーッ
笛の音が鳴り、25:21で第1セットが終わった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!