*灰羽side
まず聞いて欲しい
俺は決して悪気があったわけではない
盗み聞きするつもりなんてなかった
ただ、研磨さんにトスを上げて欲しいだけだった
全然見つからないからもう戻ろうとしていた
そしたら、研磨さんの後ろ姿が見えて……
灰羽『研磨さ__』
孤爪『俺あなたのこと好きだし』
さすがの俺だって、これがどんな状況かはわかる
研磨さんがあなたに告っていた
俺は急いでその場から逃げ出した
黒尾「リエーフ、研磨いたか?」
灰羽「い、居なかった、す!!!」
黒尾「?そうか」
山本「お前なんか変じゃね?」
灰羽「そ、そんなことないっスよ!!?」
何とか誤魔化しているうちにあなたが戻ってきた
あなた「次烏野だよ、日向止められるようにブロック頑張ってね、灰羽」
灰羽「え、あ、あぁ、おう、!」
あなた「どうしたの?なんか変だよ」
灰羽「き、きき、気のせい!!絶対そう!!!」
あなた「そう?」
あなたの言葉に全力で頷く
あなた「そっか」
そう言ってあなたはベンチの方へ向かった
俺はそのまま試合に出ようとコートへ向かう
すると、
孤爪「リエーフ、さっき見てたでしょ」
灰羽「うわぁぁ!!け、研磨さん!!?」
孤爪「そこまで驚かなくても…」
後ろから研磨さんに話しかけられた
灰羽「て、てゆーか、なんで俺が見てたって……」
孤爪「まだ確信はしてなかったからカマかけたんだけど…見てたんだ」
灰羽「あ、」
孤爪「まぁいいけどね」
研磨さんは涼しい顔でそう言った
そして、あなたをちらっと見てコート内へ入っていった
その時の視線がまるで夜に眼を光らせる猫のようだった
*あなたside
烏野との試合が始まった
日向の速攻をリエーフが持ち前の身長でブロックした
次の攻撃も、トスを見てからブロックに飛んでいた
あなた「成長してる……!!」
リエーフの成長に感動していると、研磨くんと目が合った
驚いてそのまま固まってしまった
すると研磨くんはクスリと笑った
孤爪「(み、す、ぎ)」
口パクでそう伝えてきた
研磨くんはさっきの件をあまり気にしていないようだ
孤爪『返事は急がなくていいから。でも、俺があなたのこと好きっていうのは覚えといてね』
そう言った研磨くんはその後もいつも通りだった
私もそれにつられていつも通りにいれたけど……
やっぱり、ふとした瞬間思い出してしまう
今は試合に集中しようとコートに視線を戻す
すると、クロくんがこちらを見ていた
そしてすぐ視線を相手コートに向けた
気のせい、かな?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!