第70話

猫の目
3,239
2021/02/23 09:20
*灰羽side



まず聞いて欲しい



俺は決して悪気があったわけではない



盗み聞きするつもりなんてなかった



ただ、研磨さんにトスを上げて欲しいだけだった



全然見つからないからもう戻ろうとしていた



そしたら、研磨さんの後ろ姿が見えて……



灰羽『研磨さ__』




孤爪『俺あなたのこと好きだし』




さすがの俺だって、これがどんな状況かはわかる



研磨さんがあなたに告っていた





俺は急いでその場から逃げ出した



黒尾「リエーフ、研磨いたか?」



灰羽「い、居なかった、す!!!」



黒尾「?そうか」



山本「お前なんか変じゃね?」



灰羽「そ、そんなことないっスよ!!?」



何とか誤魔化しているうちにあなたが戻ってきた



あなた「次烏野だよ、日向止められるようにブロック頑張ってね、灰羽」



灰羽「え、あ、あぁ、おう、!」



あなた「どうしたの?なんか変だよ」



灰羽「き、きき、気のせい!!絶対そう!!!」



あなた「そう?」



あなたの言葉に全力で頷く



あなた「そっか」



そう言ってあなたはベンチの方へ向かった



俺はそのまま試合に出ようとコートへ向かう



すると、



孤爪「リエーフ、さっき見てたでしょ」



灰羽「うわぁぁ!!け、研磨さん!!?」



孤爪「そこまで驚かなくても…」



後ろから研磨さんに話しかけられた



灰羽「て、てゆーか、なんで俺が見てたって……」



孤爪「まだ確信はしてなかったからカマかけたんだけど…見てたんだ」



灰羽「あ、」



孤爪「まぁいいけどね」



研磨さんは涼しい顔でそう言った



そして、あなたをちらっと見てコート内へ入っていった



その時の視線がまるで夜に眼を光らせる猫のようだった





*あなたside



烏野との試合が始まった



日向の速攻をリエーフが持ち前の身長でブロックした



次の攻撃も、トスを見てからブロックに飛んでいた



あなた「成長してる……!!」



リエーフの成長に感動していると、研磨くんと目が合った



驚いてそのまま固まってしまった



すると研磨くんはクスリと笑った



孤爪「(み、す、ぎ)」



口パクでそう伝えてきた




研磨くんはさっきの件・・・・・をあまり気にしていないようだ



孤爪『返事は急がなくていいから。でも、俺があなたのこと好きっていうのは覚えといてね』



そう言った研磨くんはその後もいつも通りだった



私もそれにつられていつも通りにいれたけど……



やっぱり、ふとした瞬間思い出してしまう



今は試合に集中しようとコートに視線を戻す



すると、クロくんがこちらを見ていた



そしてすぐ視線を相手コートに向けた



気のせい、かな?

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