第20話

頼ってよ…
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2020/08/30 04:49
*あなたside



放課後になり、私は灰羽と体育館に向かっていた



あなた「あ、教室に筆箱忘れた…ちょっと戻って取ってくるから、遅れるって伝えといて」



灰羽「わかった!!」



小走りで来た道を戻り、教室に入った



そういえば、小テストも忘れて行ったかも…



そう思って机の中を覗くと、筆箱と細かい紙が沢山入っていた



あなた「紙くず…?」



それらを取り出してみると、それはビリビリに破かれた私の小テストだった



そして、筆箱を開ければまた紙が入っていた



あなた「また…?」



『灰羽くんから離れろ』と、書かれていた



あなた「…なるほど」



灰羽のことが好きな子からのメッセージってわけですか…



とにかく今は、部活行かなきゃ!



そう思って鞄の中に破られた小テストと筆箱を入れて教室を出た



そして、階段を下りている時…



バシャッ



あなた「冷たっ…!」



上から水が降ってきた



見上げると、更衣室にいた女子と廊下をすれ違った女子が笑いながら私を見下ろしていた



そのうちの一人の手にはバケツが握られていた



そして、その子たちはどこかへ行ってしまった



あなた「……寒い」



いくら春とはいえ、頭から水を浴びると寒いわけで…



「なにしてんの?」



そう声をかけられ、振り返れば…



あなた「研磨くん……」



孤爪「ちょ、濡れてるじゃん…!」



研磨くんはバッグからタオルを取りだし、私を拭いてくれた



あなた「ありがと……」



孤爪「いいから、まず着替えよ」



あなた「うん」



私は近くにあったトイレでジャージに着替えた



孤爪「クロに言っt「だめ!!」」



あなた「お願い、内緒にして……」



私はぐっと拳を握ってそう言った





*孤爪side



あなた「お願い、内緒にして……」



弱々しい声であなたはそう言った




部活に行こうと階段に向かうと、びしょ濡れになったあなたがいた



こんな所で水に濡れるなんて、普通はありえないし、女子のそういうの・・・・・だと思った



あなたは顔は整ってるし、頭は良いし、中学の時から女子に妬まれることはあった



だけど、あなたはみんなに優しいからそういう人とも仲良くなっていた




だけど、これは……



孤爪「…ちょっとやりすぎ



あなた「え?」



孤爪「なんでもない…なんでクロに言わないの?」



そう聞くと、あなたは下を見ながら言った



あなた「…迷惑かけちゃうから」



きっとクロはあなたのこと迷惑だなんて思わない



だけど、今のあなたに言っても多分聞かないと思う



孤爪「わかった、クロには言わないから」



あなた「ありがと……」



そう言うと、あなたは安心したような顔になった




そうやって、あなたはクロばっかり……




あなた「じゃあ、先に部活行くね」



あなたは階段を駆け下りていった



孤爪「俺にも頼ってよ……」



その言葉はあなたには届かなかった

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