あ、教科書忘れた
やったわ
忘れたことへの恨みを噛み締め机と向き合っていた
どうしよっかな
違うクラスのやつに借りる??
でもなあ、知ってるやつ全然いねえし
頭をフル回転させ解決法を必死に探した
こいつにはバレたくなかった
俺がいつも馬鹿にしてるから、、
こいつに馬鹿にされたら、たまったもんじゃない
なんでこういう時に限って感が冴えてるんだ
ビビってスニョンの顔を見てしまった
さっきまで下向いてたのにさ、、
はあ、これはもうバレたわ
ほんとに何を言ってるんだ
こいつはどこまで馬鹿なんだ
それは、とてもスニョンらしい解答だった
そう言って隣のクラスに走っていった
俺は当然顔が真っ赤なわけで、、
と、褒めてるのか貶してるのか
よく分からない言葉が聞こえてくる
このクラスのやつは、
俺とスニョンが付き合ってるのを知っている
それもスニョンがさっきみたいな感じで言ったんだよな
ーー
チャイムが鳴ってからスニョンは帰ってきた
やっぱ、申し訳ないよな
断っとけば良かった
幸い、先生がまだ来てなかった
ノートの隅をちぎり、一言書く
それを4つ折りにしてスニョンまで回してもらった
スニョンがこっちをガン見している気がするが
目を合わせたら恥ずかしさで死にそうだから
必死に目を逸らした
呆れられてるぞスニョン
話終わったあとも独り言をブツブツと言ってる
もうやめてくれ
俺の顔が肌色にならないじゃないか
『ありがとな』って書いただけなんですけど
まあ、こうなることは予想できてた
ーー
また忘れ物しようかなと思ったのは秘密
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!