第18話

カウントコンサート
589
2020/05/10 23:20
あなたside


Hey!Say!JUMPの皆とカラオケに行ってから6日。


12月31日。

実家に帰ってくるなり、親から「大学はどう?」「お友達とは仲良くできてるの?」なんていう質問をされた。小学生じゃないんだから。



適当な返事をして、久しぶりにお母さんの手料理を味わう。やっぱりお母さんの手料理って美味しい。


親の数字は父親が「12792」母親が「12905」


父親の方が先に死ぬんだ、なんて考える。
とは言っても平均寿命以上生きるけど。
お母さん
あ、紅白始まった!
お父さん
今年はどっちが勝つかなぁ。
毎年恒例の紅白歌合戦。確かHey!Say!JUMPも出るはず。
_______________________
あなた

ぁ…

Hey!Say!JUMPの皆だ。
つい、この前一緒に居た、Hey!Say!JUMP。
お母さん
次はHey!Say!JUMPね!
お父さん
へぇ~
「上を向いて歩こう」歌うのか。
お母さん
手話もするんだって。
_______________________


名曲「上を向いて歩こう」。昭和の名曲を平成生まれが令和に歌う。

よく考えたら凄いことだよな。なんて考えてたらポップ調になって、Hey!Say!JUMPっぽくなる。


本当に凄い人達なんだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お父さん
今年も白組かぁ
お母さん
やっぱりジャニーズだからかしらね?
お母さん
あ、ジャニーズカウントダウン見なきゃ!
ジャニーズカウントダウン?
あなた

何それ?

お母さん
あら、知らないの?
お父さん
ジャニーズのカウントダウンライブだよ。
そんなのあったんだ。


本当に、私はジャニーズを知らなかったんだと実感させられる。


お母さんがチャンネルを変えると、大人数の人がところ狭しと入ったドームが映った。

誰かは分からない人達が歌を歌っている。


きっとこの人たちもジャニーズなんだろうな。

そんなのんきな事を考えながら見ていると、さっきまで紅白歌合戦に出ていたはずのHey!Say!JUMPが登場した。


唯一分かるグループ。登場するなり、会場の歓声が上がる。

そうか、この大人数の中にHey!Say!JUMPのファンが居るんだ。


この人達はわざわざ年越しという瞬間を家族ではなく、ジャニーズと過ごしたいと思う人達。

とてもジャニーズ思いのファンの人達。

もちろん、ここにいる人以外にも来たかった人はいるはず。

Hey!Say!JUMPの猛烈なファンだっているはず。



私は、ここまでしてHey!Say!JUMPに会いたいと思うだろうか。

きっと思わない。それくらいの立ち位置にいる。


なのに、そんな私が、Hey!Say!JUMPという何万人ものファンを持つグループとクリスマスを過ごした。







ものすごく罪悪感だ。Hey!Say!JUMPの皆にも、ファンの方にも失礼な気がする。

さらに言えば、彼らは残りが少ない。

貴重な一日を私のために使ってくれた。

本当に申し訳ない。




そんな私の気持ちなんて知らずに時間は進む。
あともう少しで年越し。


カウントダウンが始まった。

みんなの頭の上の数字が減る。

テレビでは見えない。けど、確実に減っていく。


3、


2、


1、


0



テレビの向こうで彼らは言った

「Happy New Year!」






彼らが命を落とすまで、私は何が出来る?


プリ小説オーディオドラマ