第7話

検査
417
2019/11/30 13:11


「…花野さん、足はどうですか」

 凛とした目元が印象的で、短い髪はツヤツヤでとても綺麗な女の先生だ。

絶対、モテるよな。

 心の中で木本先生のことを考えつつ、私は木本先生の返事に答えた。

「はい。前よりはよくなってきています」

「そうですか。うーん。この調子だと来週の水曜日に退院できますね。そうします?」

 木本先生は私の足をじっくり見て、私に退院話をし始めた。

 そうだよね、入院して退院する日がくるんだよね。

最初は、自分の自己管理のなさに悩んでいたけど…今は…。

「…花野さん、どうしました?」

 ぼぅーとしていた私に気づき、木本先生は私に聞いてきた。

「…いや、なんでもないです」

「…そうですか。じゃあ、退院日はご家族の方と話してから、決めましょうか。あと、退院日が来週の水曜日で良ければ。看護師に言って下さい」
事務的な対応を私に言い、先生方々は去っていた。

 扉が閉まり、私はなにか物思いにふけていた。

退院か。

体調が悪いから、入院してるんだもんね。良くなったら、退院する。

分かっている。

大した病気でもないし、免疫力が弱っていたから休んで、体調良くなるまで入院しているだけ。

 分かってる。分かってる。なんで、わかってるのに、涙が出そうなんだろう。

すると、小さいテーブルに置いていた携帯が小さくブッと鳴った。

 携帯を開くと、母親から連絡がきていた。
 To: おはよう
 具合どう? 今日の午後病院に行くから。
 この文章だけ見ると、母親と話しているようだ。

 今日、母さん来るのか。

 そう思っていると、他の看護師の方が来た。

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