「あの、携帯充電したいんですけど。延長コードってありますか?」
ひらめいた頭で、私は久保田さんに聞いた。
「…あ、はい。今持ってきますね」
ニコっと笑い、私の方を見た。
やばい。なんだ、この笑顔は言葉にならない。私はこの思いを隠すように、私は返事をした。
「お願いします」
パタッと扉を閉めて、久保田さんは出ていた。数分間、扉の方を見ていた。
この気持ち、なんだろう。分からない。でも、分かるのは、久保田さんに好意があること。
「…うん。そうだ」
私はまた一人で何かを納得するように言葉にしていた。
誰もいない大部屋で私は久保田さんのことを考えていた。受験勉強をしなければならないのに、そんなことどうでもよくなっていた。
私は、ベットに横になった。目を開けて、天井を見つめた。
なぜか、私はさっきよりも明るい気持ちになっていた気がした。
両手で上をあげて、天井を見つめて、誰かに願った。
また、久保田さんに会えますようにと。まぁ、会えるんだけどね。
30分後
「…これですよね。持ってきましたよ」
久保田さんは、ガラッと扉を開けて、私にコードを上にあげてニコッと笑っていた。
「…あ、ありがとうございます」
その姿に私はドキッとしながらも、何もない素振りで返事をした。
「…はい。後何かあれば呼んでくださいね」
そう言ってから私に言い、足早と去っていた。
仕事、忙しそうだな。さっきの言葉、患者みんなに言っている言葉だって分かるけど。
なんか、私だけに言われている錯覚を起こしてしまう。
これは、なんだろう。今まで感じたことのない感情。
「これって、なんだ?」
久保田さんが出た瞬間、携帯電話を充電したコードを取り、調べ始めた。
そのサイトは、何でも解決しちゃうよサイト。
言葉、そのままで分かりやすいけど。
もうちょっと名前考えようよと心の中で思いながら、人差し指で下にスクロールしていった。
すると、そこには私の思っていることが書かれていた。
質問①
私は今入院しているんですけど。
お世話になっている男性看護師に恋をしてしまったんです。
これは、なんでしょうか。教えてください。
質問の下に書かれている答えをスクロールして見ると、二つの答えがシンプルに書かれていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!